ダイソンが電気自動車をやめた理由 未来の電池を開発
掃除機で有名なイギリスの
「ダイソン」
創業者のジェームズ・ダイソンは、
6億1200万ドル(約660億円)を投資して、
EV(電気自動車)の開発を進めていましたが、
昨年10月に断念していました。
それでも、
EV開発から得た収穫もあったようです。
サンデー・タイムズのインタビューで、
ダイソンがEVの姿を公開しました。
ダイソンによると、
車両の開発コストが高すぎて商業化を断念したのでした。
「N526」と呼ばれるこのEVは7人乗りSUVで、
航続距離は600マイル(965km)です。
この車両には様々な新しい技術が組み込まれています。
例えば、ドライバーが前面から目を離さないで済むよう、
速度メーターやナビゲーションといったダッシュボードの情報は、
ドライバーの目の前に浮かび上がるようになっています。
しかし、コストがあまりにも高く、
採算が見込めないことから開発プロジェクトを中止しました。
ダイソンは、
「EVは開発費用が非常に高い。
バッテリーやバッテリー管理、
エレクトロニクス、冷却などは、
内燃エンジンよりもはるかに高い」
ということです。
N526が損益分岐点を超えるための販売価格は
18万4000ドル(約1980万円)と、
他のEVより高額になってしまいました。
プロジェクトは頓挫してしまいましたが、
開発費の全てが無駄になった訳ではありません。
ここで生み出したバッテリー技術は、
今後の事業に貢献する可能性があるようです。
「ダイソンのEVが特別だった大きな要因は、
そのバッテリーにある。
同社のエンジニアたちは、コードレス掃除機からヘア・アイロンまで様々な製品向けに、
ハイパワーで静かで、充電時間の短いバッテリーの開発に長年携わってきた。
“このバッテリーは、1回の充電で600マイル走行することが可能だった”」
と話していました。
電気自動車にはバッテリーが必要です。
ダイソンは全固体電池の製造というむずかしい課題に取り組んでいます。
全固体電池は従来の
リチウムイオン電池に比べてエネルギー効率が高く、小型で軽量です。
「他社も全固体電池を開発しているが、
我々の方が最初に実用化に成功するかもしれない。
我々のバッテリーの方が他社にとってサステナブルなのであれば、
他社に提供するのも選択肢になるだろう」
とダイソンは話しています。
ダイソンは、これから、
リチウムイオン電池よりも効率的かつコンパクトな
同社独自開発の全固体電池を
自動車メーカーが利用できるようにする計画をすすめているようです。
ダイソンの電池が、
世の中をおどろかす日が来るかもしれません。