エビアンがおいしいと感じる心理 思い込みで失敗しないコツ
買い物をしていると、
「新発売」「○○限定」
と書かれている商品を、
思わず手に取ってしまったことがあると思います。
このように、魅力的なパッケージデザインやフレーズが、
商品の売り上げに大きく影響しているのです。
そして、新しい研究では、
パッケージに書かれている
ラベルが、実際に消費者の味覚にまで影響を与えると判明しました。
ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン氏らは、
ヒューリスティックという心理現象を唱えています。
人間の脳にはシステム1とシステム2があるのですが、
システム1は、考える労力を必要とせず、直感的に働きます。
システム2は、複雑な計算や論理など、知的活動に際して働いています。
そして日常の生活のなかで、
人間は、システム1を存分に働かせて、物事を判断しています。
普段から何事も複雑に考えていると、疲れ果ててしまうからなのです。
システム1は、個々人の経験を踏まえて、物事を判断しています。
そのため、経験知によって思い込み(バイアス)がかかるため、
対象をありのままに認知することができません。
ワインの場合、
高いワインは美味しいはずだという思い込み(認知バイアス)があるから、
実際に「心地よい」と感じてしまいます。
だから、
普通のお客さんは、味の良いワインよりも、
高いワインを飲みたがるのです。
このようなバイアスへの影響は、価格だけではありません。
コロンビア大学のシーナ・アイエンガー氏は、
とあるテレビ番組の実験を紹介しています。
通行人に、
エビアンと水道水をラベルを外して飲んでもらったところ、
75%が水道水のほうが美味しいと答えたようです。
多くの人々は、
ミネラルウォーターのほうが美味しいのだ、
という刷り込みを受けているのです。
また、
屋内の洒落たレストランで、
俳優を水ソムリエに仕立てておいて、
革表紙のメニュー表に書かれた水のリストを見せます。
ソムリエは、
「天然の利尿剤、抗毒剤です」などと能書きを述べてから、
「オー・デュ・ロビネ(Eau du robinet)」という銘柄を紹介します。
すると顧客は、さわやかで口当たりがいいなどといって、
絶賛したのでした。
「オー・デュ・ロビネ」
とは、フランス語で、
水道水という意味なのです。
ミネラルウォーターは、
巧妙なトリックの働きによって、
美味しいのではないかと思っているということです。
ラベルには爽やかな山岳の絵が描かれ、
水の名産地のイメージを彷彿とさせるような商品名と、
さも高品質かつ安全であるかのような説明書きがなされています。
しかし、水道の水よりも品質が高いとかおいしいなどとは、
一言も書かれていません。
それでも人は、
そのイメージや印象に影響されて、
価値認識を変えてしまうのです。
ミネラルウォーターや炭酸飲料などにつけられた値段や評価より、
自分の味覚を信じることが大事なのかもしれません。
どんな商品を買っても、それを素直においしいと思うことで、
よりおいしく味わえるのではないでしょうか。
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